はるかかなたの年代記 双貌のスヴァローグ:白川敏行
それぞれが最強クラスの能力を持ち、それぞれに深い事情を抱えた3人組が主人公の魔法学校物。ただ、俺TUEEEよりも彼らの友情に主眼を置いているので、嫌味くさくもなくさらりと読める。とても雰囲気が良い。
それにしてもユウくんにはがっかりだぜ。女顔で、秘密を抱え、裸を見せたがらない…とくれば読者としては唯一の可能性しか考えないわけだが、その裏を掻いてくるとは。いや作者の掌の上で転がされていたと考えるべきか。まったくやってくれるぜ。
んで、とにかく会長が可愛い。超可愛い。ちゃんとユウくんのことを好きになる過程を丁寧に描いてくれているので、もはや会長がヒロインにしか見えない。俺はどこまでも会長を応援します。カティアなぞ色気のない小娘にすぎぬわ…。
ともだち同盟:森田季節
森田季節が初のハードカバーを出したということで購入。同じハードカバーなら天地明察買ったほうが面白いに決まっているのだが、なんだろう、一種の作家買い。
男一人、女二人の「ともだち同盟」の、その名称とは裏腹な、冷え切った人間関係を描く。死んだはずのヒロインが再び現れたりするなど、ホラーチックではあるのだけど、ベースにあるのが少年少女の恋愛だということもあり、暗さや湿っぽさは感じられない。明るさや晴れやかさも感じられないが。ヒロイン二人の確執がきわめて複雑で面白いし、この悪趣味なオチも非常に良い(主に修羅場的な意味で)。この作家の良い面が最大限に発揮された作品だと思う。森田季節は、初期の平坂読的な、思いつくかぎりの変な要素を盛り込んで、結果的に散漫になってしまうということがあるんだけど、それがひとつの方向性を持ったとき、真の力に覚醒して天空人の血が脈動し新たなる姿に進化を遂げる。
とはいえ、作家としての最高到達点がこの作品かと思うと、物足りなさも感じる。もう一皮向けてほしいと思うんだけど…。
機動戦士ガンダムUC3 赤い彗星:福井晴敏
えーと、どんな話だっけ。連邦の兄ちゃんがオードリーをナンパしてるところしか思い出せねー。ああ、そうだ。オードリーがバナージに駆け落ちを持ちかけて、それを聞いたミコットが嫉妬に狂うという、ニヤニヤするような展開があったな。修羅場修羅場。まあ、最強の機体に乗って最高の美少女と共に逃避行だなんて、そっちはそっちでロマンだけれど。ローマの休日だぜ。
副題の「赤い彗星」は変態仮面の再来と呼ばれるフル・フロンタルのことだけど、どういう人間なんだ。素性も知れない人物をリーダーにしているなんてネオジオンは大丈夫なのだろうか。大丈夫じゃないからテロリストやってるんだろうけど。まあ、しかしフロンタルの戦闘シーン、機動描写はかっこよかった。MSの戦闘というものをいかにして表現するかということに力入れてるんだろうなぁ。