さよなら妖精:米澤穂信

いいよ。すごくいいよ。めちゃくちゃ切なくて悲しい話を期待していたので、読む前はその期待が裏切られないかちょっと心配してたんだけど(「春期限定いちごタルト事件」がコミカルだし)、でもきちんと徹頭徹尾しっとり冷たい雰囲気が貫かれてて、期待を裏切らない内容でした。こう、平穏な日常を描いている部分でも、水面下では守屋の葛藤とかそういう冷ややかな部分が存在している感じ。実際の現実での出来事が背景として使われているけども、あくまでメインのテーマは青春時代の少年の心情なのが素晴らしい。そのあたりラノベっぽい。現実とのリンクによって結末の悲しさが引き立っている部分もあるけど。もう俺、守屋に感情移入しまくり。っていうか、誤解を招きそうだけど、あえて言おう(バッカーノのナイル風に)、エロゲーでありそうな話だ。泣きゲーってやつ。
なんだか支離滅裂。
最後に。この作品はキャラ萌えがどうのこうのというタイプの作品じゃないが(それで「エロゲーっぽい」もないだろう、自分)、あえて言おう、センドーさんが大好きだ。クールで知的。それでいて時々感情的になる。完璧。