荒野の恋 第一部 catch the tail:桜庭一樹

傑作。桜庭は外さないなぁ、いつも。
眼鏡をかけた内気なまだ恋を知らない少女・山野内荒野を巡るたくさんの恋と性の謎、がテーマだそうです。その通りの話です。「性」は嫌いなんですけどね。「愛」は汚くて、「恋」は綺麗。つまり「愛」は接触を伴っていて、「恋」はそうではない。というのは、俺が潔癖症だからこその考え方でしょうか。うわ、俺、かなり痛いこと言ってる。えーと、それは置いておいて。かなりエグい部分に踏み込んでいるのに、ギリギリでライトノベルらしさを失わないのが、桜庭の凄いところだと思うんですよ。どこか(たぶん「このライトノベル作家がすごい!」)のインタビューで本人も言ってましたね、「ここまでするとライトノベルじゃなくなるから――」みたいなこと。限界点がわかってるんでしょうね。まさにライトノベル・クイーン。桜坂洋のあざとすぎるセンスが好き。まぁ、それも置いておいて。
父親がなんかありそうなのと、奈々子さんがかっこいいのと、蓉子さんにやっぱり嫌悪感なのと。あと、江里華には綺麗に騙されましたよ。よく考えれば、桜庭一樹なのだから、こうなるのは予想できたはずなんですけど。第二部では、江里華がもっと関わってくるんだろうか。第二部は十四歳の話らしいから、二年後で、中三で、受験絡みの話かな? 悠也も戻ってくるだろうし。あー、すごく楽しみ。