熾天使たちの5分後:木ノ歌詠

前作『フォルマント・ブルー』もそうだったけど、メカ少女好きだなぁ、この人。
今回は少女型兵器の儚さが描かれた作品。あらすじを見ると『最終兵器彼女』なんかの劣化コピーのように思えるが、さにあらず、一味違った作品に仕上がっている。
ポイントはズバリ「ヒロイン・御守通夜とは何者か?」
タイトルやプロローグからして既にその伏線になっていて、そのあたりは感心する。
通夜本人もね、生真面目な性格のくせに、自分のことをヘタレと言ったりして、なんつーか小動物的な可愛らしさがあるんですよ。やばいぜ。セラフィム同士のバトルを描くよりは、ヌルめのラブコメ的日常生活を描いてほしいなー、なんて思ったり。
ついでに言うと、あとがきが面白い。富士ミスにあってミステリを書こうとした作者の姿勢は評価できるが、その結果どうみてもミステリじゃない作品が出来上がってるのは、もはや富士ミスには得体の知れぬ魔力があるとしか…。