少女七竃と七人の可愛そうな大人たち:桜庭一樹

桜庭一樹が一般文芸で活動してきた集大成と言っていいんじゃないかな。『赤×ピンク』以降のその流れの桜庭作品は、テーマとして「地方都市」と「少女」があって、中でも「少女」というのは、だんだん「美少女」に重心が移っていっている。『ブルースカイ』にその萌芽が見られ、SFマガジンの短編などは完全に「美少女」がテーマだった。この『七竃』は、「地方都市」と「美少女」と、そのどちらも描こうとしている作品で、その点で『砂糖菓子』や『少女には向かない職業』などと一線を画している。
冷たく鋭い描写の中にときおり間抜けな描写を挟んだり、何の前触れもなくサンボマスターの歌詞を挿入するあたりが、いかにも桜庭らしい。そんな描写を入れてみたり、漫画の中にしかいないような美少女をテーマにするあたりが、一般文芸らしい重さの中のライトノベルらしい軽さだと感じた。
と、少々わかったような口で言ってみた。わかってないです。
昔、サブブログの方で、「一枚の絵画のような小説を読みたい」と言った気がするけど、『七竃』はそれに近いんじゃないかと思う。すごく綺麗な小説。