ビアンカ・オーバースタディ 第一話〜第三話:筒井康隆

この短編3つのためだけにあのサイコロのお化けみたいなファウストはさすがに買えない、と思ったので立ち読みで済ませました。ごめんなさい。本当は感想を書くつもりもなかったんだけど、ラノベサイト界隈ではあんまり話題になっていないようなので、逆に書きたくなった。
この作品は「筒井康隆ライトノベルを書く」ということでだいぶ前から話題になっていた。俺は筒井康隆作品をろくに読んだことはないのだけど、いかにも作家として有名な奇人が「ライトノベルを書く」と宣言して書いた小説っぽいなぁ、と思った。74歳が書いたものとしては驚異的にキャッチーだ。でもラノベとしてどうかっていうと微妙と言わざるをえない。ライトノベルの皮をかぶってはいるけれど、たぶん中身は別物だと思う。敢えて皮だけに留めたのか、それとも中身もラノベのつもりで作ったのかは、分からない。
筒井康隆が『涼宮ハルヒの憂鬱』を読んだという話はどこかで目にした。筒井康隆ハルヒのような美少女に振り回されることがオタクの願望なのに違いないと考えたのかもしれない。そしてハルヒのような美少女が男たちを振り回して手コキしまくる小説を書いた。ビアンカはたしかに「萌え」を備えている。そして「エロ」も備えている。その二つが交互に出たり引っ込んだりしている。完全にちぐはぐだ。もしかしたら筒井康隆の中ではそれらは同一のものなのかもしれない。鱈子も数の子も英語で言えばどっちも Roe みたいな感じで。だとしたら面白いなと思った。
ともあれ、今月号に掲載された分はまだ導入のようだ。第三話の雰囲気からすると今後は『時かけ』っぽい要素が混じっていくんだろう。いつになるかは分からないけど、一冊にまとまったら買うかもしれない。いつになるだろうなぁ。