恋する鬼門のプロトコル:出口きぬごし

男主人公の視点と女主人公の視点とを交互に切り替えて進んでいく、ちょっと変わった作品なのだが、それにより恋愛描写が格段に面白くなっている。第一印象は最悪だった二人だが、女主人公は勘違いから男主人公に惹かれていく、しかし男主人公には実はその気はないのだった、といったあたりから、恋愛の糸はもつれはじめ、やがては何とも奇妙な関係に落ち着いてしまう。つまりは二重人格者の裏の人格が好きだから表の人格と付き合うという話なのだが…そういうシチュは大好物だぜ。男主人公の節操の無さも面白いが、そうとは知らない女主人公の浮かれ具合も楽しい。修羅場ラブコメとしては素晴らしいできばえだ。
ジャンルとしてはいちおう退魔物ということになるのか。いろいろ詰め込んで分厚くなっているのは新人らしいところだが、これからどう成長していくだろうか。一冊きりで消えたりしないで欲しいな…。