平井骸惚此中ニ在リ 其五:田代裕彦

富士ミスの作品って読みやすいから、ついつい先に手を出してしまうなぁ。
シリーズ最終巻。異なる場所で事件が起こり、それぞれを骸惚先生と河上君が調査するというダブル主人公システムになっていて、つまり河上君がついに骸惚先生と同格として語られているわけで、河上君の成長ぶりがはっきりとわかる構成なわけです。いきなりさらりと犯人を指名する骸惚先生もかっこいいけれど、推理披露のシメに満を持して登場する河上君もかっこいい。本当に成長したなぁ。
涼さんの破壊力もこれまで以上に素晴らしい。酔っ払って部屋にかつぎこまれた後の一連のシーンは、まさしく核爆発級のツンデレですね。溌子ちゃんもまた可愛いし、緋音さんも久々に活躍したりして、つくづく、完結が惜しまれます。
あとがきは必見。突然のシリーズ終了で打ち切りのようにも思えたけれど、ここで終わるのはむしろ必然だったというわけですか。お疲れ様です。キリサキの続編、もしくは『私』と『コイツ』の物語を、期待しております。