琥珀の心臓:瀬尾つかさ

これは、素晴らしい。なによりキャラクターが良い。ヒロインの遥は、何かを超越したように感覚的に生きていて、そして最後に人間であることを捨てようとする。非常に共感できる。俺もさぁ…ry
「ひたすら『高み』を志向していく『森』」という世界観は、解説でも言われているように観念的ではあるが、しかし個人的にはわりと分かりやすかった。そのあたりも作者の巧さか。まぁ、世の中には森博嗣みたいに本当にわけわからん作品もあるからなぁ。
ジュヴナイルとしては、前半は非常に良かったものの、後半は世界観の説明にページを割きすぎじゃないかとも思う。話の中心がそっちに流れたような印象がある。特にラストは、遥は『その他大勢』と一緒になるし、敦也と優子は何がやりたいのかわかんないし、行きっぱなしの物語だし。切なさが微妙に薄まってしまった。それっぽいのはキスくらいか。
まぁ、これはこの一冊で完結かな。ここから続けるのは流石に難しいんじゃないだろうか。次の作品を楽しみに待っておこう。