薔薇のマリア IV.LOVE'N' KILL:十文字青

よほどの天変地異が起こって、四次元時空連続体に異常が発生して、地球の公転速度が光速を超えて、DIO様がスタンド能力に目覚めないかぎり、たぶん今年最後となる読書。そして、それに相応しい良作。
作者自ら「これまで序章、これから本章」と言うくらいの新展開、作品の舞台となるサンランド無統治王国の深部に光が当たり、トマトクンやりりぃたちの過去が仄めかされ、アジアンは変態度を増し、もう一人の変態も現れ、マリアローズは「もう男でも女でもどっちでもいーや可愛いし」という神域にいよいよ足を踏み入れ、まさしくサブタイトル通りの愛と殺戮の嵐!
十文字青の文体はまるでロックのようで(といっても俺には「サンボマスターってロック?」くらいの認識しかないんですが)、独特の疾走感と暴走感が同居し、その文章はまるで歌詞のようで、「愛を描く」というより「愛を歌う」といった印象がある。それは元ストリートミュージシャンという経歴のせいかもしれないし、もしくは単にそういう人だからかもしれない。例えば、今回は冒頭からこうだ。

ああ、マリア。マリア、マリア、マリア。ボクの愛。ボクの魂。ボクのすべて。極限愛。

「極限愛」と書いて「ラヴ・マックス」とルビを振る。このセンスはイカレていると思う。最高だ。来年もさらなる活躍を祈りたい。