刹那〜そのとき彼女が願ったこと〜 days of Broken Blood:山下卓

考えてもみろ。山下卓が世に送り出したこの本で……読者はあと十年は戦える!
甘い百合百合な空気を放出しつつ隠し持った棘が鋭く刺してくる感じ。ここには二人の日常が描かれているだけで、彼女は迫りくる非日常には無自覚に、ただ日常を謳歌している。それがまた切ない。そして彼女にとっては唐突に、日常にも非日常にも、終わりが訪れる。なんつーか、いいですよねぇ。最後はポジティブに終わるあたりがなんともまた。
敢えて難を言うなら、エピローグで明かされる「アレ」は、それまでに絶対に読者に気付かせてはならないものだと……まあ、衝撃がなくとも胸に迫るものはあったんですけど。…作者に八つ当たりかチクショウめ。
これが最新巻なので、新刊はもう一年以上出ていないのか。残りはあと九年ですよ。