煉獄のエスクードARCHIVES だけど綺麗なものは天国には行けない:貴子潤一郎

短編集。「アーカイブ」好きだなこの人。
スケアリー・モンスターズ
ロンドンの夜、薫とレイニーさんと刑事さんが魔族と戦う話。シリーズの導入っぽいのと、あとちょっとした読者サービスが入ってる。どことなくハードボイルド。
美女と野獣
レイニーさんがとびきり素敵な話。ラストで悶絶。○○したあとの優しい言葉というコンボはすごい。やられる。
「だけど綺麗なものは天国には行けない」
サブタイトルがかっこよすぎるんだけど、これは独自の訳なんだろうか。「the pretty things are going to hell」を無理やり訳したって書いてあるけど…。いつもどおりに薫がロリっ娘と仲良くなる話。なんかこのシリーズはロリっ娘が多いような気がするのは気のせいなのか。…気のせいだ、たぶん。
「鏡の国のクラウディア一門」
読者サービスたっぷりの過去話。お兄ちゃんとクロウディア師匠の乱れた私生活が明かされる!
「本日快晴」
1950年代末のニューヨークを舞台に、ベースボールと、しがない探偵と、マフィアの抗争を描いた話。どう読んでもレイニーさんや魔族の存在が浮いてるんだけど、それを差し引いても面白すぎる。むしろこの不自然さが面白いとも言える。B級ホラー映画的な(ごめんB級どころかホラー映画なんて観たことない)。なんというか、作者のベースボール愛と、ニューヨーカーのベースボール愛が重なって、とても趣深くなっていると思う。過ぎ去った時代の哀愁、という感じ?