BITTER×SWEET BLOOD：周防ツカサ
俺は周防ツカサが好きすぎる。出てくるキャラ出てくるキャラみんなツボに嵌る。特にサウラが可愛すぎるよ。きんぱつようじょがぜんぶひらがなでしゃべるんだぞ？ とりあえずカラー口絵だけでも見ろ。話はそれからだ。
この人の書く小説って、基本的に「葛藤」がぽっかり抜け落ちてるんですよ。妙に楽観的というか、普通の人間なら悩むことを「ま、いっか」で済ませるような、ちょっとズレたキャラクターが多い。そーいうのを悪く思う人もいるだろうけど、個人的にはそのズレが面白いのだと思っています。葛藤を読みたいなら『ぼくと魔女式アポカリプス』読めばいいですよ。あれも最高です。
んで、抜け落ちた葛藤の代わりには恋愛要素、というより男女の関係性と書いたほうが近いのかもしれないけど、そういうものが入っているわけです。もともと短編賞出身で、デビュー作も恋愛メインでした。その経験が生かされているんだと思います。この『BITTER×SWEET BLOOD』は吸血鬼の話なんですけど、男の方が「俺ってば吸血鬼だけど、それでもおｋ？」と訊ねるとヒロインは即断で「ぜんぜんおｋっす」って、まあこんな喋り方じゃないけど、そんな感じに進んでいくのです。あまりウジウジと悩まず、すんなりと恋人同士になってしまうあたりが素敵じゃないですか。
別に終始淡々としてるってわけでもないんですよ。どっちかっちゅうと中二病的な*1、パピヨン的な匂いのある作品です。しかし『魔女式』のように葛藤しまくって鬱展開でドヨーンということもない。「深いコク、喉ごしさわやか！」っつー感じでしょうか。
しかしですね、この作家には如何ともしがたい欠点があるのですよ。なにかって。とにかく打ち切りが多いのです！ 『ユメ視る猫とカノジョの行方』の続刊は絶望的です！ 『ラキア』も打ち切りっぽいです！ どうにかしてくださいよ。なにが悪いんですか。買わない読者が悪いのです。どうか皆さん、『BITTER×SWEET BLOOD』を買いましょう。これがシリーズ物かどうかわかんないんだけど、俺はもうこの人の作品が打ち切りになるのを見たくないのです。
