PSYCHE プシュケ:唐辺葉介

冬目景が表紙を描いているという時点で買わざるをえない。もちろん挿絵はありません。仕様です。
音楽を聴いているみたいに読んだ。大量のイメージを流し込まれたみたいな感じ。何もかもが狂ってる話。狂いつつも、主人公は冷静に「これは現実ではない」と認識して、でも、幽霊だか幻覚だか夢だかを受け入れてもいる。現実と幻覚の区別がつかない、というよりは、現実と幻覚を区別しようとしてない、ので、どこに現実があるのか分からない。「ここから幻覚」とも「ここまで幻覚」とも書いてくれない。ご丁寧に「初めからぜんぶ夢だったんだよーん」という可能性まで提示してくれて、でも結論は出さずに、レコーダーを途中で止めたように唐突に終わる。目が覚めたら夢の内容をぜんぶ忘れてるみたいに、読み終わったあとに何も残らない。良いものを読みました。