コピーフェイスとカウンターガール:仮名堂アレ

ガガガの新人さん。タイトルがSFっぽいんだけど、あらすじを読んでもどの程度のSFレベルか窺えなかったので、思い切って買ってみた。読んでみた。面白かった。ええと、簡単にネタバレすると、主人公の一族は全員が同じ顔で生まれてくるという呪われた一族で、その呪いを解くためには両想いの相手とキスしなくちゃいけなくて、でも「どうして同じ顔なのか」とか「本当にキスすれば呪いは解けるのか」とか、そのあたりの説明はほとんど無いのであった。なのでたぶんSFではないのだが、いやそもそもSFを標榜してるわけでもないのだった。立派な青春ラブコメであった。この作品に凝った設定はいらないと思う。軽快な文体と快活なキャラクター。力の抜けたような、ふざけているような、ナンセンスな雰囲気。そういうのだけで十分に魅力的だ。
早苗先輩がとても良い。第三章までメインヒロインが登場しないという変則的な構成なので、序盤限定で早苗先輩がヒロインみたいなことになっているのだが。その強烈なキャラクターは、主人公のいじられキャラを際立たせ、早希との比較でギャップ萌えを生み、さらにはオチにまで影響を及ぼしている。理想的なサブヒロインである。彼女が修羅場に絡んできてくれればなお良かったのだが、まあそこまで贅沢は言うまい。というか修羅場修羅場うるさいよ俺。
綺麗にオチがついているので続編があるのかわからないけど、続きがあるんだったら読みたいと思う。期待の新人として覚えておく。