とらドラ9!:竹宮ゆゆこ

「良い子でいようとして失敗して暴走」系キャラが大半の『とらドラ!』登場人物の中で、唯一「悪い子に見えて実は良い子」なのが亜美なんだよなぁ。この作品のバランサーというか、縁の下の力持ちというか、損な役回りを引き受けて一身に背負い込んでる。だってさ、みのりんはさんざん竜児を振り回して大声で告白してすっきりしてるし、大河だって自発的ではないとはいえ本心を知ってもらえたしそれにまあ正ヒロイン様だし、でも亜美はどうよ、自分の気持ちを抑えこんで、みんなのために頑張って、しかしトリプルヒロインの一角を担いながらも出番は僅少、具体的な進展は皆無、そしてこの台詞。

「あたしが悩んでるときにも、傷ついてるときも、いっつもいっつも気づいてくれなかったじゃん! あんたは、いっつも、あたしのことには気づいてくれなかった!」

か、かわいそすぎる…。
もうね、亜美ENDでいいと思うんだ。大河より亜美と付き合ったほうが、竜児も幸せになれるよきっと。
今回は、進路に絡んで高須親子が対立する話。学校の方がどれほど荒んでも空気が悪くなっても、高須家の中は変わらず暖かかったのに、それもついに崩壊しました、と。高校二年から三年生あたりって、たぶんいちばん親と対立する年頃だろうなぁ。受験生に読ませてみたい。共感しまくりなんじゃないだろうか。嗚呼、竜児と大河は手に手を取りあって逃避行。エンディングは近いですな。