いつも心に剣を5:十文字青

これにて完結。ページをめくるたびに少しずつ錘を載せられていって気付いたら圧し潰されていたような読後感だ。レーレは魔女の犬として人間たちを殺し続け、ユユは人質としてレーレの帰りを待つ。徐々に狂っていく二人。なりふりかまわず攻勢を企図する魔女たち。レーレと対峙するセルジュやヨナハン。そして暗躍する賢者ハイジロ。十文字青が得意とする、短い文章を無数に重ねていく心理表現が、圧倒的な質量をもって読者の心に重くのしかかる。十文字青はすごいな。このシリーズも打ち切り気味で、決して綺麗に風呂敷を畳んだわけではないが、それでも消化不良に終わったような感覚はない。エネルギーをすべて放出しきっているからだ。