ネコソギラジカル(中) 赤き制裁VS橙なる種:西尾維新

眠気も吹っ飛びました。ことごとく予想の裏をつく展開で、もう読者の予想を裏切ることに全てを懸けてるんじゃないかと思うくらいなんですけど(例えばデスノートのように)、しかし実際のところは全てが西尾の計算のうち、といった感じ。中巻から繋がる下巻がおそらく玖渚の話なのは、《青色サヴァンと戯言使い》というタイトルから予想できるわけですが、しかしこの最後のページ、こういう風に《蒼》に帰結させるとは、流石としか言いようがない。
つくづく、本来の刊行日程で刊行して、完璧な出来にして欲しかったですが、p163の最後のあたりを読むと、深読みかもしれないけど、それも既に考慮のうちに入れたのかもしれないですね。たぶん深読みだろうけど。
まあともかく、《アイツ》も再び出てくるし、《赤》は行方不明だし、《橙》は意外に男前な口調だし、狐さんは変なときに登場して変なこと言うし、人はたくさん死ぬし、でも崩子ちゃんは死ななかったし、まったく今後の予想がつかない状況なわけです。広げた風呂敷が畳めないんじゃないかと思うくらい。でも、まあこの時点で傑作ですし、それが、下巻が良ければ超傑作になるだけの話ですから、個人的にはもう満足しまくりなのです。なんてったって崩子ちゃんが死ななかったし。っていうか《アイツ》が生きてたんなら、もしかしたら両手に鋏を仕込んだ素敵なあの娘も生きて出てくるかもしれないわけですし(大泥棒の調査結果なんて完全スルーです)。ああもう、キャラが多すぎるのに、それぞれに味がありすぎて、こちらの処理能力が追いつかないですね。本当に綺麗に終わるんでしょうか。
っていうか、《戯言》シリーズも本当にあと一冊で完結なんですねぇ。こうなると感慨深いというか、なんというか、感傷に浸ってしまいますね。