電蜂 DENPACHI:石踏一榮

「現実でプレイするゲーム」を描いた、ちょっと群像劇的な話。設定は「リアルライフ―この時代に生きることを (ファミ通文庫)」をブラッシュアップした感じ。もしくは「消閑の挑戦者―パーフェクト・キング (角川スニーカー文庫)」とか。
「やり直しの効かないゲーム」という点が強く意識されていて、そのあたりの冷徹さ残酷さがとてもよく描かれている。その点においては、上に挙げた二作品よりも面白い。
オチも結構好き。先ず設定ありきで、人物は後付けなんだろう。あとがきにもそれっぽいことが書いてあるし。主人公は「プレイヤーたち」であって、今回の「神崎光也」はそのうちの一人に過ぎないってことで、まあ、こういう変なオチもアリなんじゃないかと思う。
個人的には、「リアルライフ」の作者と同一人物なんじゃないかと密かに疑っている。設定がそっくりなのはまだしも、どっちもゲーム会社就職希望ってあたりはとても怪しい。年齢も同じくらいっぽいし。…ま、偶然であることを祈ろう。