マージナル:神崎紫電

とにかく主人公の痛々しさが上滑りしている。「マージナル」という設定自体が中途半端だから、どんなに主人公の異常性を強調しても、それが中途半端に見えてしまう。ネットに集まる異常者たち、というテーマなら『SHI-NO』の方がよっぽど面白いよ。これじゃダメだなぁ。
そんなふうに考えていた時期が俺にもありました
後半に入り、突如として主人公は暴走しはじめる! 手始めに拷問具の歴史を滔々と語ってみせる主人公! ドン引きするヒロインに自傷癖を告白する主人公! そしてトドメに、ラノベとしては重過ぎる過去を吐露してしまう主人公! 輝いてる、輝いてるよ主人公!
ラスト付近は特に楽しかった。主人公が暴走しすぎて展開が読めない。かなり危険なところまでグッと踏み込んでくるんだよ。やはり中二病作品はやりすぎるくらいでないとつまらないよ。
まあ、決定的な敗因は主人公の姉と妹を出さなかったことだろうな。
何作か書くうちに化けるタイプだと見た。次回作に期待。