鳥籠荘の今日も眠たい住人たち3:壁井ユカコ

なんか雰囲気変わったか。ややファンタジー色が強めな感じ。鳥籠荘の謎に迫る話だからか。それとも以前からこんなものだったっけな?
鳥籠荘は<現実>と<非現実>の交じりあう場所、らしい。外では大事件となる殺人が“ただのちょっと変わった出来事”になってしまう。とんでもない怪物に見えた青年も、外では“ただの犯罪者”に成り下がる。当事者が非現実の存在ばかりなら、非現実でも現実になってしまう、ということか。
んで、いちばん面白かったのは、加地くんのママの恋の話。加地くんのママは鳥籠荘の住人ではないけれど、彼女もまたズレたキャラである。だからこそ、非現実の存在である着ぐるみパパさんとのあいだに、いびつながらも恋愛関係が成立している。ベッタベタな恋愛ドラマを絶賛展開中のキズナと有生も同じく。
うーん、なんというか。明らかに異常な空間の中で、大量の異常者に囲まれて、鈍感な人たちがまともな恋愛を繰り広げているのって、なんだか可愛らしいな。という。