扉の外 III:土橋真二郎

これまでのゲームは少なからず頭脳戦の要素が含まれていたけれど、今回は単純にFPS風のオンラインゲーム。そのぶんテーマであるディスコミュニケーションの問題が前面に押し出されている感じ。このあたり、語れる人はとことん語りそう。
しかし美鈴さんですよ。なんですかこの全方位百合兵器は。親友から、既に彼氏のいる子まで、広く深く触手を伸ばしてますよこの人。一部で暗黒暗黒言われていた正樹愛美も、実は美鈴さんの毒牙にかかっていたことが判明。本当に良い人だったんだな愛美って…。そんな愛美を打ち捨ててゲームに興じる美鈴さんヒドス。
終盤は暴走気味で、妙に打ち切りっぽい終わり方だったけれど、それでも手に汗握る迫力があった。打ち切りというよりは、新人にありがちな「デビューシリーズは数冊で終わらせて別シリーズを立ち上げましょう」ってやつだろうか。このシリーズだと、主人公もゲームの内容も巻ごとに変わるので、ちょっと落ち着きがないように感じる。別シリーズを読んでみたい。