塔の町、あたしたちの街2:扇智史

なにこの傑作。扇智史はほんと良いものを書くなぁ。良いものを書くのに売れないなぁ。たしかに決して完成度が高いわけじゃないんだけど、モロに打ち切りっぽい終わり方だし、でも終盤から怒涛の勢いでやるせなさとせつなさが押し寄せてくる。打ち切りだからやるせないのかバッドエンドだからせつないのかごっちゃでよくわからない。いろいろ後に続く伏線もあったのに、すべてかなぐり捨てて世界を壊す。町の外から見れば塔なんて無いほうが当然なわけだし、「塔がなくたって生きていけるよ」と言われそうだけど、彼女たちは塔がなくなれば死ぬしかなかったのかな、と思うと無性に胸が痛い。物理的に塔がなければ生きられない八柳先輩と違い、なごちゃんや皆理先輩や錆くんは精神的に塔に縛られていて、塔のない世界では生きていけない。ああもう、エピローグせつなすぎるだろ。