タザリア王国物語4 獣面の暗殺者:スズキヒサシ

冒険ファンタジーになっとるぜ。やはり戦記物ではないよなぁ。「ジグリット一代記」といったほうが正しいのだろうか。てかタザリア滅びてるしな。
ここまで来てもリネア様の魅力にまったく翳りが見えない。リネア様は絶対的な独裁者ではないし、すべてを見通す魔女でもない。わがままで世間知らずだし、狡猾だけど老獪ではないし、若いというよりむしろ幼い。ジグリットを掌中に収めて安心したのか、ややデレが見えるんだけど、そこでまた年相応の少女らしさが垣間見えるというか。だってペアリング作って喜んでるんだぜ、リネア様。「お揃いなのよ」って笑うんだぜ。なんともお可愛らしい。ジグの命を救って、看病して、着替えさせて、食事を食べさせて…。そこまで尽くされてなおリネア様を拒絶するジグがとんでもない罰当たり野郎に思えてくるぜ。
今回、前半はアンブロ+ナターシの旅、後半はジグ+ブザンソンの旅ですな。ナターシは予定通りというかなんというかの行動。アンブロがどうなったかが気がかりだけど。ブザンソンのどんどんデレていくあたりはファン・ダルタを彷彿とさせる。ジグに関わる人間はみんな、性格が破綻していて、かつジグにベタ惚れなんだよな。面白すぎる。
次巻からは国を取り戻すための行動を開始するんだろう。ゲルシュタインが大半の兵士を本国に引き上げさせたというのも伏線かな。展開が早くていいね。ファン・ダルタが登場するらしいから、マネスラーさんとかも出てくるのかな。そしてアンブロ、ナターシ、リネア様の3ヒロインがどういう行動を取るか。もとより戦記的なリアリティは期待してない。エンターテイメントとしてどう見せてくれるかに期待。