黒猫の愛読書I -THE BLACK CAT'S CODEX- 隠された闇の系譜:藤本圭

スニーカーの新人さんその2。その1の『放課後の魔術師』と雰囲気がかなり似ている。
主人公はおとなしくて目立たなくていつも本を読んでいる陰気な少女。でも眼鏡を外すと美人。優しかった祖母、快活な友だち、そして意地悪な男の子。出会って恋をして成長する。最後は眼鏡をコンタクトに変えるオチ。一昔前の少女漫画を読んでいるような気分。乙女チックすぎる。
嵐が丘』をモチーフにしているあたり『“文学少女”』シリーズ的な匂いを感じる。「書籍物」というか「読書物」というか。『“文学少女”』が完結したと同時にこういう作品を送り込んでくるのはもしかして後釜狙いとかそういう意図があるのだろうか。ないのだろうな。昨年の『リンネ!』も読書物だったし、『放課後の魔術師』も小説が重要アイテムとして出てくるし。単にスニーカーがそういう作品好きなだけなのかも。
それでいて魔術の設定は、オカルティズムやら何やらに則ったけっこう本格的なもの。重厚な感じ。
総合的に見ると、少女漫画パート→サスペンスパート→伝奇ファンタジーパートという三段変化になっているんだけど、これが意外に自然で、詰め込みすぎ感はあるものの、上手くまとまっていると思った。