カッティング〜Case of Mio Reincarnation〜:翅田大介

やばい。やばいくらい青臭すぎる。この溢れんばかりの中二病スメルがもうたまらない。もしこの世に「青臭いライトノベル大賞」なんてものがあったら4年連続受賞で殿堂入りしているだろう。というくらいの傑作。気を引き締めて読まないとニヤニヤしすぎて死にそうになる。
あらすじ。前巻のラストで交通事故死した主人公が例の技術で甦り、そのせいで荒みまくって、ぐだぐだと悩んで、どこへともなく旅に出て、そして惚気で終わる。いろいろあっても最終的にはありふれた日常に着地するっていうのがとても良い。これがもっと熱血な話だったら、たとえば謎の秘密組織を倒すために地下にある本部に乗り込んだりとか、松岡修造ばりに熱のこもった説教を食らわせたりとかするんだろうけど、そんな方向にはぜんぜん行かないのな。登場人物の台詞を引用するなら「ハードSFだと思って見始めた番組が火曜サスペンスだった」っていう。まあこれまでのカッティングシリーズはぜんぶそのパターンなんだけど。サスペンスだと思ったらラブロマンス。すべては壮大な痴話喧嘩なのですよ。
今回の沙姫部先輩は素晴らしく可愛い。反則クラスの破壊力。もうミオなんてやめて先輩とくっついちゃえYO!って念じまくってたけど通じなかった。残念だが、カズヤがいらないというのなら、俺がもらっていくしかないな。
カズヤとミオの話はこれで一区切り、ということで、カッティングシリーズが続くならまた新しいカップルが出てくるのか、トモエが再登場するのか、それとも新シリーズが始まるのかわからないけど、この人の作品ならたぶん何でも面白いだろう。楽しみ。