ツァラトゥストラへの階段3:土橋真二郎

ライトノベルはキャラクター小説だとか言われてるくらいなので、キャラを尖らせてストーリーの角を丸めるような傾向があると思うんだけど、この作品はキャラクターの角を丸めてストーリーを尖らせてるような感じ。登場人物たちはみんな、ひとことでは言えない性格をしていて、整数で割ると必ず余りが出るようなキャラクターばかり。ストーリーは過激で、まあ『扉の外』と比べるとゲーム自体はぬるいけど、そのかわり「上位の人間は下位の人間をどう扱うべきか」みたいなテーマが強調されていて、精神的にちょっとえぐいんだよな。『扉の外』が「(自分が)追い詰められていく」というゲームなら、『ツァラトゥストラ』は「自分を追い込んでいく」ようなゲーム。
福原くんもなかなか複雑なキャラですね。女たらしのようなそうでないような。優しいような冷たいような。どさくさまぎれにおっぱい突っつく男ですからね。こいつと飛鳥と舞の三人は、何か楽しそうだなーと思う。マッサージのくだりとか膝枕のくだりとか、ああいう恋人がじゃれあってるような描写って、ラノベじゃあんまりないよな。この作者、『扉の外』1巻の頃からすると、右38度・斜め上64度くらいの方に飛躍してってるような感じがする。良いことです。