ハーフボイルド・ワンダーガール:早狩武志

事前情報で「ひどいNTR展開あるよ!」って言われてたからめちゃくちゃ期待してたのに、なんかぜんぜんぬるかった。いや確かに雰囲気はあったけどさ、期待が大きすぎたせいか、ぜんぜん満足できなかったよ。初恋の人を兄貴にかっさらわれたとかは寝取られっつーかただの失恋だしなぁ。それよりもむしろ、「佐倉井さんが湯佐くんを美佳に寝取られる」というほうがそれっぽいんだけど、それも結局は順当に、収まるべきところに収まった感じだし。たとえばこれが兄貴が死ぬ前の話で、湯佐くんと美佳の甘酸っぱい恋愛模様を描きつつも、最後に兄貴が孕ませちゃって主人公絶望、とかだったら素晴らしいNTR展開だったんだけど。それが終わったあとの話なんだもん…。
まあ三角関係は楽しませてもらったけど。ありとあらゆる女の武器を駆使して迫る幼馴染 VS 意外な純情さでアピールする美少女探偵。佐倉井さんを応援したい気持ちにさせられつつ、美佳の怒涛の波状攻撃はいっそ爽快だったり。主人公が一本気で優しすぎるから幼馴染への未練を捨てられないんじゃないかと不安になったり。修羅場としてはなかなかのものだと思う。
兄の死去だとか幼馴染の妊娠だとかシリアスな設定を用いつつも、どこか明るい雰囲気が漂っているのは、湯佐くんと佐倉井さんの楽しい会話のおかげかな。まさにハーフボイルドという感じ。でも、このクライマックスに「大漁」はさすがにない。そんな軽い場面じゃないだろそこ。それ以外のイラストはとても良いんだけどなぁ。