影執事マルクの手違い:手島史詞

暗殺者が暗殺対象に返り討ちされて執事に転身する話。あるいはお嬢様と執事の初々しい交際を見守る話。こういう設定を聞くと、「暗殺者が執事に」というギャップの面白さを押し出していくものかと思うけど、でもマルクくんは元より敬語で、性格は穏やか、家事も得意だったりする。これだとむしろ暗殺者だったという方に違和感を覚えるな。どうせなら「執事が暗殺者に」のほうが良かったかもしれない。
エルミナ様はあれだな、両親が再婚して義理の弟ができて、新しい母親は優しそうな女性で、「息子と仲良くしてあげてね」と言われて、それでなにかと弟に話しかけたり、世話を焼いてあげたりして、弟に受け入れてもらおうと頑張るんだけど、でも無表情なせいでいろいろ誤解されて、その弟から嫌われてしまうお姉さん、って感じ。喩えが長い。無表情系だけど可愛げがあるし、ぼーっとしてるようでいてお嬢様らしい威厳も備えている。余裕があるように見えて意外に落ち着きのないマルクくんとは正反対で、なんだかお似合いのカップルのように感じられるのことですよ。
思わせぶりな伏線がいくつか放置されているので、最初から続刊前提で話が組み立てられているんだろう。クフ・リーンを使えなくなった理由が「なんだそりゃ」なものだったりして、あんまり構成が巧みなタイプじゃなさそうな印象だけど、上手いこと続けてくれるといいな。