円環少女9 公館陥落:長谷敏司

変態をかっこよく、真人間をさらにかっこよく、髭のおっさんは可愛いらしく。放火犯の鬼火さんを追い、広大な地下を大冒険、魔法使い側の権力闘争が明かされ、《九位》って年甲斐もなく少女趣味だけどいちど素顔を見てみたいなぁとか思いつつ、犬の活躍に涙し、鬼火と仁の男の戦いに涙し、という感じ。
「刻印魔導師が魔法使いらしく生きていける世界を作る」という夢の第一歩としてNPO法人を作りにいくあたりがこの作品らしいなぁ、と思う。あと、さんざんかっこいいシーンを描いたあとで、女性陣に「男ってかっこつけだよねー」みたいな感じに言わせるあたりも、それっぽい。うん、かっこいいから良いんだよ。鬼火のかっこよさは異常。今回は仁もついにヘタレを脱出したし、ほんとシリーズの転換点になっている。旧世代から新世代へ交代して次回から新展開、みたいな?
「次の十巻は別の意味であとがきが書きにくい話になるはずです」って、どうせ変態がたっぷり出てくるんだろとか思ってしまう俺がいる。いや、シリアスでもコメディでもブレーキを踏まずに突っ走ってほしい。