月色プラットホーム:水口敬文

『憐』『ウィッチマズルカ』といった良作を送り出してきた水口敬文の新作。全体的には、死者と生者の交流を描いたやや切ない系のストーリーなんだけど、お涙頂戴には傾かず、あくまで恋愛要素を中心にしているあたりがポイントか。ほどよい修羅場が心地よい。幽霊列車の車掌・紗月と、幼馴染の綾芽の対決。紗月はすでに死んでいるけれど、生者である主人公に引け目を感じず、積極的に攻勢に打って出るのが良いですな。綾芽は綾芽で幼馴染ならではの“素直になれない”系攻撃を繰り出すも、主人公は「綾芽は死んだ兄貴のことが好きだった」と思い込んでいるために綾芽から距離を取りたがり、その先で紗月が手を広げて待ち構えているという。まるで追い込み漁のような光景がここに! さらにクラスメイトのつぐみが離れたところで虎視眈々と機会をうかがっているし、もう一人のクラスメイト・薫もなにやら複雑な恋愛事情を抱えている様子。薫については何となく百合っぽいが、あるいは主人公ハーレムパターンもあるか? 次巻が楽しみですな…うへへへへへ。