ラプンツェルの翼:土橋真二郎

またまた積感想が溜まってしまっているのでちょっと簡易モードで。
土橋版ローゼンメイデン。というかローゼンメイデンを土橋風にアレンジしたら結局いつもの土橋作品になった、みたいな感じ。トランクに入ってた美少女をパートナーとして東京都全域でバトルロイヤルする話。閉鎖空間の『扉の外』から、『ツァラトゥストラ』を経て、だんだん戦いのフィールドが拡大されていっているみたい。
奈々ちゃんは良いですな。この作品では“天使の牙”の非人間性が強調されていて、初めは何も知らない赤ん坊みたいだった奈々ちゃんも、時が経つにつれて人間をモノとしてしか扱わない天使に近づき、しかし遼一の妹である“奈々”としての感情も多分に残っていて、そのあいだを揺れ動いている。まあ、「おまえは人間だ!」「お兄ちゃんっ!」そして抱き合う二人…みたいな展開にならないあたり、いかにも土橋らしいというか。
おそらく一巻で完結。入間人間における『電波女』のような、シリーズ物を書いているあいだの息抜きの一冊、ということだろうか。『ツァラトゥストラ』の続きを読みたい。