あまがみエメンタール:瑞智士記

母親を求めてココちゃんの身体を噛みまくるリコちゃんと、その行為に快感を覚えて噛み跡の写真集まで作っちゃったりするココちゃん。小中高一貫の女子校という特殊な環境で育まれる二人の共依存関係を描いた作品。なんと素晴らしい。百合である。基本的には小学一年から高校二年までの二人の営みが綴った短編連作のような形。キャラの病みっぷりと比して軽妙な語り口で、さくさくと読み進められる。
ただ百合としては詰めが甘いと言われているのは、つまり閉鎖性が低いからなんだろうな。個人的に思ったのは莉子ちゃんのお母さんのことで、せっかく閉鎖的な舞台を用意しているのに、彼女らが抱える問題の根本が学園の外にあり、しかもそれを解決するために学園の外に出ていってしまう、というあたりがもったいない。外に問題があれば内に篭る、というのがセオリーではないだろうか。
とはいえこれはあくまで「完璧とするには惜しいところがある」という程度のことで、作品自体が素晴らしいことに変わりはない。新しい百合ラノベの名作が生まれたことを祝福しつつ、このような完全に百合を志向した作品がこれからも作られていくことに期待。