俺の妹がこんなに可愛いわけがない3:伏見つかさ

これまで私は京介について、なんて妹思いの兄なんだ、口ではああ言ってるけど、ほんとは桐乃のことが大好きなんだろうなぁ、などと思っていた。…この3巻を読むまでは。黒猫との兄妹ごっこを見るかぎり、京介は桐乃のことが好きなわけではない。そう、妹だったら誰でもいいのだ。それがたとえ邪気眼電波美少女だったとしても、「兄さん」というたった一言さえあれば、彼にとっては全力で守るべき「妹」となるのだ。なってしまうのだ。しかしそれは不純ではない。いや彼の行動は、ある意味で個人の感情すら超越した、限りなく純粋なものだと言うべきだろう。妹の振りをしているだけの他人を貶されて「人様の妹を泣かせてんじゃねぇよ!」と脊髄反射で絶叫できる男が他にいるだろうか。完全に無意識の所業である。黒猫のことを本当の妹だと思い込んでいなければこのような台詞を吐けはしないだろう。まさしく彼こそ真・兄貴、いや超・兄貴である!!!
というのはどうでもいいが。
今回は桐乃がケータイ小説作家としてデビューする話。またもや絶妙なところを突いてきやがる。ケータイ小説論とか、ワナビdisとか、食いつき甲斐のありそうな釣り針があちこちに浮いているぜ。「ケータイ小説」と聞いたときの、オタクとしてのステロタイプな反応は、黒猫のものに近いのだろうが、重度のオタのくせにケータイ小説もバッチリ書いちゃうのが「不自然に感じられない」というのが、桐乃の特異性を表しているなぁ。
ちょっとラブ寄せされてきた…のか…? あやせが再登場して再フラグが立ったりしないかなぁ。