ソードアート・オンライン1 アインクラッド:川原礫

アクセル・ワールド』よりも好きかもしれない。仮想現実なMMORPG、脳に直に信号を送ってゲーム世界を体験させるという設定は、それだけ見ればアクセル・ワールドとほぼ同じ。重要なのはログアウトできないという点。ログアウトボタンがない、ゲームをクリアする以外にゲームをやめる手段がない、無理にゲームをやめれば(電源を引っこ抜くなどすれば)現実的な意味で死んでしまう、といったルールにより、ソードアート・オンラインの参加者は、ログアウトできないまま仮想世界で二年を過ごしており、それによってゲーム世界が限りなく現実世界に近づいている。だからこそ「死の恐怖」が真に迫っているのだ。たとえば普通にファンタジーな世界で「敵に殺されれば死にます」というのは当たり前すぎて実感を持てない。「これはあくまでゲームです、しかしゲームオーバーになれば死にます」というところに、リアルさがあるのだと思う。
アクセル・ワールドが「ゲームだからこそのアンリアル」を描いた作品であるのに対して、こちらは「ゲームだけどリアル」というところに重点が置かれている。SAOの開発者さんもこう言っている。

「これは、ゲームであっても遊びではない」

もうひとつリアルなのが結婚だ。結婚ですよ。ラブラブ新婚生活ですよ。もちろん、この“結婚”というのはあくまでゲームのシステムとしての“結婚”でしかないのだけれど。でも現実とまったく変わらない世界で二年間過ごしたあとのことなんだから、そりゃ現実の結婚と変わらんわけで。ベッドシーンもあるし。後半はずっとニヤニヤさせられっぱなしだった。素晴らしい。
ただ、この作品に欠点があるとすれば、やっぱラスボスとはラストダンジョンの最奥部で戦わないと盛り上がらないということかな。