ぐらシャチ:中村恵理加

少女が出会ったのはシャチのようでシャチではない怪物・グラボラス。肉を抉り骨を削って己の姿かたちを変える異形。やがて怪物は人間になりすまして少女に忍び寄る。時を同じくして起こる連続殺傷事件はヤツの仕業なのか!? 戦慄のバイオホラー!! …みたいな感じ。…半分くらいは正しいはず。
マジで設定だけ見たらかなり怖い話だと思う。グラボラスが身体のサイズを変えたり、人間に化けたりする方法とかが、無駄にグロい。そんなの不思議パワーでいいじゃん! これ子どもに読ませたらトラウマ物だって、絶対!
テーマとしては「人間と怪物のコミュニケーション」というあたりで、なんだか『ダブルブリッド』と共通しているように思う(『ダブルブリッド』はロクに読んだことないので断言できないけど)。ヒロインである榛奈の、ぼけーっとした性格が、人間の常識を知らないせいで天然ボケに見えるグラボラスとマッチしていて、かなり良い。さらに、最初はグラボラスを受け入れていた榛奈が、徐々に恐怖に支配されていくのも、グラボラスの異常さを引き立たせている。
あとがきで『ソウル・アンダーテイカー』への言及があったということは、忘れてないってことですよね。続編とか期待していいんでしょうか。読みたいんだけどなぁ。