影執事マルクの迷走:手島史詞

富士見は巻数がわからないシリーズ名をつけるのをマジでやめるべき。いつのまにか5巻目。今回は短編集。
「瑠璃猫の求める羽衣は」。マルクとカナメが買い物デートする話。この話だけ読めばどう考えてもカナメさんがヒロインなわけですが。というかカナメさんが絡むとすべてが色気づいて見える。カナメさんはこの作品における恋愛成分発生装置だからな。
「災厄は日常の隣に」。マルクとカナメが将棋っぽいゲームで遊ぶ話。二話続けてカナメがヒロインの座を狙ったが、今回はエルミナお嬢様が良いところを持っていった。さすがだ。たとえるなら、ツンデレヒロインが愛情表現で主人公を痛めつけていたら、正ヒロインが主人公のその手当てをして株を上げた、みたいなものか。
「灰と共に散りぬ」。今度はマルクとエルミナお嬢様が買い物デートする話。買い物に出かける→主に金銭的な問題でマルクが困る→いろいろあって犯罪者を捕まえる、という展開が「瑠璃猫の求める羽衣は」と同じだ。
「暗闇に潜むものは」。暗闇に潜むものにエルミナお嬢様が脅える話。とても可愛い。
「そして、揺り籠は落ちる」。タイムスリップしたエルミナお嬢様が、荒んでいた頃のマルクくんと出会う話。綺麗なお嬢様とスラムの不良が仲良くなるって正統派の恋愛物語だよな。この頃のマルクはまだ純情だったんだなぁと思うと泣ける。