あかね色シンフォニア:瑞智士記

DTM + 百合という、瑞智士記を構成する二大要素が遺憾なく発揮された作品。
歌が大好きな高校生・茜根そなが、電子音楽研究部、通称DTM部に入る話。もちろんDTM部には美少女しかいない。男ってなんですか? 新種の生物ですか? まるで初心者だったそなが、歌の才能を見出され、どうやら作曲にも目覚めて、徐々に成長していく過程が描かれる一方で、そのときどきに個性的な先輩たちの熱いDTM語りが炸裂する。DTMのことは分からないけれど、作者の情熱がこれでもかと注ぎ込まれていて、読んでいて楽しい。たぶん書いている方も楽しかったんだろうなぁ。
音楽系部活物と言えばいまは『けいおん!』だけど、『けいおん!』は同級生ばかりの「自分たちでやる」活動、こちらは先輩にひっぱりまわされる「教え導かれる」活動、という感じで、だいぶ雰囲気は違うかな。ああ、でもそう考えるとお姉ちゃんの「さな」は自堕落のままニートになった唯で、そなは姉に憧れて軽音部に入った憂、に見えなくもないな。さなは、最後の最後で美味しいところを持っていくんだろうと思っていたら、最後の最後までダメ人間だったw
残念なのは、主要メンバーの中で弥耶や千夜子があまり描かれていないことか。まあ単純に尺が足りないだけだろうけど。次巻に期待。…一巻で終わらないよね?
あと、ネット受け狙いのパロディ作品は数あれど、これほどニコニコ動画、特にVOCALOIDをフィーチャーしてる作品って珍しいんじゃないだろうか。瑞智士記って密かにVOCALOIDのPとして活動してたりしないのかな。