B.A.D. 1 繭墨は今日もチョコレートを食べる:綾里けいし

「えるしっているか まゆずみはきょうも ちょこれーとしかたべない」。栄養失調ってレベルじゃねーぞ
性格の悪い所長。ひとりで苦労を背負いこむ助手。忌まわしい学生時代の記憶。旧家の因習。陰惨で残酷な事件。その裏で糸を引く、妄執にとりつかれた男…。雰囲気的には、両儀式の出てこない『空の境界』、といった感じ。ヒロインの名前が「あざか」だし。ただまあストーリー的には正統派のオカルト物で、ヒロインは直死の魔眼なんて持っていない、ただの霊能力者だ。むしろ主人公の方がケレン味があって良い。絶賛妊娠中(※主人公は男です)で、最後には出産までしてしまう(※主人公は男です)なんて。子煩悩になりそうだなぁこいつ。
新人さんだけど、こういう雰囲気を出せるというのは、実力があるからだろう。ただ、この一冊に美味しいところが詰め込まれまくってるので、二巻以降でテンションが落ちないか心配だ。