狼と香辛料XIV:支倉凍砂

クライマックスに向けて最後の転換点ということになるんだろうか。ホロと別れて利益を取るか、愛を選んでホロと行くか。本来ならさっと済ませられる話のはずが、ホロとロレンスの性格が超々々面倒くさいせいで、実に遠回りに、長々しく、わかりにくくなっている、という感じがする。石頭のエルサも思わず説教しようというものですよ。ともあれ、これでもう二人はバカップルとして完成しきってしまったという認識でよろしいか。いよいよ最終章だよね? 節目なんだよね?

零崎人識の人間関係 匂宮出夢との関係/戯言遣いとの関係:西尾維新

いーちゃんの出番少ねー。
なんか普通に、出夢くんと人識くんってカップルだったんだなー、と。ひとりだけ弱さを抱えつつも、恋人と友達とパーティを組んで、直木三銃士…いま気付いたがこれ直木三十五のもじりなのか…という強敵に立ち向かう、バトル漫画では王道の展開。人識くんって主人公のオーラ持ってるよな。もはや戯言シリーズの主人公すら人識くんだったような気がしてくるけど、あれ、戯言の主人公って本当にこの出番の少ない陰気な大学生だったっけ?

恋する鬼門のプロトコル:出口きぬごし

男主人公の視点と女主人公の視点とを交互に切り替えて進んでいく、ちょっと変わった作品なのだが、それにより恋愛描写が格段に面白くなっている。第一印象は最悪だった二人だが、女主人公は勘違いから男主人公に惹かれていく、しかし男主人公には実はその気はないのだった、といったあたりから、恋愛の糸はもつれはじめ、やがては何とも奇妙な関係に落ち着いてしまう。つまりは二重人格者の裏の人格が好きだから表の人格と付き合うという話なのだが…そういうシチュは大好物だぜ。男主人公の節操の無さも面白いが、そうとは知らない女主人公の浮かれ具合も楽しい。修羅場ラブコメとしては素晴らしいできばえだ。
ジャンルとしてはいちおう退魔物ということになるのか。いろいろ詰め込んで分厚くなっているのは新人らしいところだが、これからどう成長していくだろうか。一冊きりで消えたりしないで欲しいな…。

なれる!SE 2週間でわかる?SE入門:夏海公司

まあ、SEが「あるあるwww」あるいは「ねーよwww」と言いながら楽しむ作品。そうでない人からすると「よくわからないけどツナ缶もらっていきますね」ということになりかねない。室見さんかわいい。これって一種の部活物だよね。「ギャルゲーマスター椎名」や「くあっどぴゅあ」みたいなパターン。あれらより現実味がありすぎるけど。

エアリエル 〜緋翼は風に踊る〜:上野遊

少年ジャンプの「LOCK ON!」を思い出したがあれってもう打ち切られたんだっけ? とにかく主人公が変態カメラマンなのである。そんな変態カメラマンを、最初は「こいつ変態だろ…」と嫌がっていたヒロインだったが、とあるイベントを経て、見事なデレへと変化するのであった。ちょろいもんだぜ。
あらすじどおりの空戦物なのだが、前述のようにラブコメ要素もあるし、背景となる舞台設定もしっかり描かれていて、とても面白い。

アクセル・ワールド5 ―星影の浮き橋―:川原礫

ライフハック(笑)
加速研究会のメンバーはきっとはてなブックマーカー。なるほど、これは馴れ合いメインのYahoo・mixiユーザーと殺伐メインのはてな2chユーザーの対立を描いた物語だったのか…。いや嘘だけど。
今回は宇宙ステージでレースゲーム。「ブレインバーストだってゲームなんだよ楽しいものなんだよ」というテーマをしっかり描写しているのが素晴らしい。だからこそ、それを否定する加速研究会の「空清めない感」が極まっているわけだ。
某アイテムについては、もっと大きな尺を使ってやるんだと思っていたけど、けっこうあっさり使われてあっさり解決しちゃったな。ちょっと拍子抜け。

ロウきゅーぶ!5:蒼山サグ

合宿編。バスケ部員たち、特にひなたちゃんが急成長していますよという話。性的な意味でじゃないからな。加えて、例によって幼馴染が昴がロリコンではないかと疑い、また恋する少年・竹中がその誤解に拍車をかける展開。というか、明らかに昴くんと智花が主人公・ヒロインなわけだが、そこの部分が倫理的自制により常に誤魔化されてしまうために、読者としてはもどかしさを感じてしまう。今後、ロウきゅーぶに求められるのは、智花の恋心と、それに対する昴の反応をきちんと書くことではないか。断るにせよ受け入れるにせよ。というか受け入れろよ昴。受け入れさせろ蒼山サグ。それでこそロリラノベ界の頂点を極められるってもんだろ。