2008-01-01から1年間の記事一覧

嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん6 嘘の価値は真実:入間人間

これで最終巻なのかなぁ。読み終わったところでジェットマンの最終回を思い出した。もしくはギリシャ神話の英雄物語。数多くの巨大な危機を乗り越えてきた主人公が取るに足りない小者に殺されて終わるというパターン。そういうのってなんか感傷的な気分にな…

ツァラトゥストラへの階段3:土橋真二郎

ライトノベルはキャラクター小説だとか言われてるくらいなので、キャラを尖らせてストーリーの角を丸めるような傾向があると思うんだけど、この作品はキャラクターの角を丸めてストーリーを尖らせてるような感じ。登場人物たちはみんな、ひとことでは言えな…

葉桜が来た夏2 星祭のロンド:夏海公司

はいネタバレするよー。 「おとうさん!」には痺れまくった。この設定すごくね。「共棲」って一夫二妻制みたいなもんじゃん。共棲者は夫婦のように子どもを生む。生まれた子どもとは親子のような関係になる。でも彼らは夫婦でも親子でもない。それどころか男…

under2 異界イニシエイション:瀬那和章

うんでる! うんでる!(←叫びたくなった) オーソドックスな異能バトル物。主人公の成長を描こうとしているところが好印象。主人公の情けないところと強いところ、どちらもきっちり見せている。ただ、落ち込むのが早ければ立ち直るのも早いので、展開が忙し…

偽物語 上:西尾維新

『化物語』の続編。待望のファイヤーシスターズがついに登場。めっちゃかわいい。他にも『化物語』に登場した阿良々木ハーレムのメンバーは総出演。これだけの人数がいて全員のキャラが立ってるってのは本当に驚異的だよなぁ。特に八九寺がやばいくらい楽し…

“文学少女”と神に臨む作家 下:野村美月

うへ、ここまでドロドロにやってきたのに、ちょうきれいにおわってしまった。卑怯なくらいすっきりしている。すげえ。 一気に遠子先輩が、他のヒロインを抜き去っていったなぁ。おそろしい末脚だ。琴吹さんと広く明るい道を歩くか、遠子先輩と別れて狭く暗い…

カッティング〜Case of Mio Reincarnation〜:翅田大介

やばい。やばいくらい青臭すぎる。この溢れんばかりの中二病スメルがもうたまらない。もしこの世に「青臭いライトノベル大賞」なんてものがあったら4年連続受賞で殿堂入りしているだろう。というくらいの傑作。気を引き締めて読まないとニヤニヤしすぎて死に…

黒猫の愛読書I -THE BLACK CAT'S CODEX- 隠された闇の系譜:藤本圭

スニーカーの新人さんその2。その1の『放課後の魔術師』と雰囲気がかなり似ている。 主人公はおとなしくて目立たなくていつも本を読んでいる陰気な少女。でも眼鏡を外すと美人。優しかった祖母、快活な友だち、そして意地悪な男の子。出会って恋をして成長す…

放課後の魔術師 (1)オーバーライト・ラヴ:土屋つかさ

スニーカーの新人さんその1。ひとことで言うと森博嗣が『ネギま!』を書いたような感じ。過剰に論理的な台詞回しと、若すぎる魔法先生のミックス。ころころと視点が切り替わる構成がスピーディで心地良い。バトルはいまいち設定倒れな感があるけど、女性心理…

オイレンシュピーゲル弐 FRAGILE!!/壊れ物注意!!:冲方丁

スプライトを読めば事件の概要がわかるけど、オイレンを読んでもわからん気がする。「スプライトでざっと把握してオイレンで再確認」はできないわけですな。線ではなく点で事件に関わってる感が強い。MPBとしての組織としての動きはほとんどない。三人で一頭…

スプライトシュピーゲルII Seven Angels Coming:冲方丁

今回はスプライトのが面白かったなー。いや、単純に厚さの問題だと思うんだけどさ。スプライトIIが主力で、オイレン弐が別働、みたいな。そんな感じ。 乙と雛が可愛い。オイレンの三人に嫉妬して、お洋服を欲しがったりして。それを鳳が宥めて。家族っぽい。…

アキカン! 6缶目っ:藍上陸

キャラクター別の短編集。…はいいんだけど、本当にアニメ化するのかな。不安で仕方がない。いや俺なんかが心配しても本当に仕方ないんだが。 一口目「エールとカメと商店街。」エールが商店街を歩く話。エールの健気さと妖怪へけへけのウザさのハーモニーが…

この広い世界にふたりぼっち:葉鳥哲

MFJの新人さん。これはすごく良かった。たぶんお気に入りの一冊になるだろう。 冒頭、少女と狼が「結婚」する。人物だけ見れば『狼と香辛料』のさかさまだし、設定は『MAMA』を夫婦にしたような感じだけど、でもこの作品はそのどちらでもない。超然としたヒ…

緋弾のアリア:赤松中学

『アストロノト!』がSFだったので次はミステリ、なのだろうか。ミステリというか探偵小説風バトル系ラブコメだけど。主人公が遠山の金さんの子孫、ヒロインがホームズの子孫、敵がルパンの子孫という、なんともハッタリの効いた設定。主人公は俺TUEEEタイプ…

丸鍋ねこ改造計画(仮):七位連一

これまた『地を駆ける虹』から大きく路線転換して、MFJお得意の作家魔改造ですね、わかります。 美少女をなんとかして笑わせようと悪戦苦闘する少年の話。主人公のギャグが切れまくっていて、だけど決めるべきところでは格好よく決めてくれる。無口無表情&…

ANGEL+DIVE 2.REUNION:十文字青

だいぶ、かなり、すごく雰囲気は違うけど、『時載りリンネ!』と似た感じの作品なんだよな。児童文学のフォーマットというか。奇妙なお屋敷、奇妙なアイテム、奇妙な人々、というのが周囲にあって、だけど子どもたちはそれを「ちょっと不思議な日常」程度に…

コピーフェイスとカウンターガール:仮名堂アレ

ガガガの新人さん。タイトルがSFっぽいんだけど、あらすじを読んでもどの程度のSFレベルか窺えなかったので、思い切って買ってみた。読んでみた。面白かった。ええと、簡単にネタバレすると、主人公の一族は全員が同じ顔で生まれてくるという呪われた一族で…

女帝・龍凰院麟音の初恋:風見周

2ちゃんねるネタたっぷりのアホエロコメ。「恋人になるために恋人ごっこをする」っていうネタはモロに『殺×愛』を踏襲してるんだよな。そういえば『殺×愛』の頃からラブコメパートはわりとベタな感じの作家だったからなぁ。あれから鬱とグロと中二病成分を抜…

SHI-NO -シノ- 空色の未来図:上月雨音

こっちでも修羅場を期待してたんだけど軽い嫉妬だけだったなぁ。今回は“僕”の元彼女が登場する(してないけど)という美味しい展開。なんとなくハルヒの『分裂』を思い出した。いやぁ上下巻構成でなくて良かったですね。これまでは先輩経由かシノシノ絡みで…

薔薇のマリア X.黒と白の果て:十文字青

カラー口絵のさ、誰かの手に頬擦りしてるマリアが可愛すぎてさ、「マリアとアジアンの仲がここまで進展するのかよやべぇマリアのこの表情はちょっと可愛すぐるマリア最高すぐる」って思ったんだけど、ピンパーネルかよ! なんだよこの下手な恋人より恋人らし…

戦闘城塞マスラヲVol.4 戦場にかかる橋:林トモアキ

なんか5冊分くらい積感想が溜まっている。いちど溜めるとなかなか消化できないんだよなぁ。というわけで手早く感想。 展開のアップダウンがすげぇ。これだけやってくれると爽快だなぁ。愛と勇気とハッタリだけで勝ち進んできたヒデオが、「実力」を得た瞬間…

とらドラ8!:竹宮ゆゆこ

久々に修羅場分をたっぷり補給させてもらった。亜美もみのりんも良すぎる。亜美ちゃん株は前巻から引き続き高騰。かわいさ、かっこよさ、修羅場発生能力、愛情度、いずれにおいても高い数値を誇る彼女は、しかしどんなに頑張ってもメインヒロインにはなれな…

スカイ・クロラ

無限ループってこわくね? 原作をわかりやすく解釈してつくられてる。というか俺は原作の内容なんてすっかり忘れてて、映画を観ながら思い出していくんだけど、設定とかキャラクターとかストーリーとかじゃなくて、ふとしたセリフとかシーンばかり思いだすん…

断章のグリムVIII なでしこ・上:甲田学人

に所属する少年とその親友、というパターンは「赤ずきん」に似てるかな。勇路くんはの協力を拒み、一真くんは助けを求めた、というあたりが違うけれど。今回は登場人物が少ないような気がする。なのに最初からアクセル全開すぎる。もしや全滅エンドなんだろ…

崖の上のポニョ

前評判から、筋書きらしい筋書きのないカオスな物語を、圧倒的な映像によって見せつけるような、そんな映画を想像してたんだけど、めちゃくちゃ素直に児童向け小説してると思った。『はれときどきぶた』みたいな、対象年齢小学校低学年くらいの。映像面でも…

アカイロ/ロマンス 少女の鞘、少女の刃:藤原祐

アカイロとロマンス。血液と純愛。これほど藤原作品にふさわしいタイトルがあろうか。ってかさー、そんなに純愛にこだわってんなら、いちど血みどろドロドロじゃない作品を書いてみればいいのにねぇ。と思うんだけど、しかし電撃の黒い太陽が白く輝くことは…

ビアンカ・オーバースタディ 第一話〜第三話:筒井康隆

この短編3つのためだけにあのサイコロのお化けみたいなファウストはさすがに買えない、と思ったので立ち読みで済ませました。ごめんなさい。本当は感想を書くつもりもなかったんだけど、ラノベサイト界隈ではあんまり話題になっていないようなので、逆に書き…

Kaguya2〜月のウサギの銀の箱舟〜:鴨志田一

学園異能風サスペンス風ライトノベルの第二巻。ところどころの描写に『神無き世界の英雄伝』とよく似た匂いが感じられて、やっぱり同じ作者だなぁと思ったり思わなかったり。 千歳さんかわいそすぎる。この仕打ちにはキレていいと思う。『ピアノソナタ』とい…

C3-シーキューブ-IV:水瀬葉月

ラブコメ面では、春亮くんがおとなしくてぼけっとしてかわいくてどんくさいような子を拾ってくる話。このシリーズでいえばマミーメーカーとサヴェレンティを足して2で割った感じですかね。…なんかその時点で酷い目に遭うことが運命付けられているような。 戦…

俺の妹がこんなに可愛いわけがない:伏見つかさ

さてネタバレしまくりますが。帯のところの乃木坂さんを見れば察しうると思うけれど、要するに「俺の妹がオタクだった」という話でありんす。『乃木坂春香の秘密』ほどファンタジーではなく、『AURA』みたいにメタと極端に突っ走ってもおらず、『生徒会シリ…